真輔の風

いきなり他人に心が動いても、

あまりにも無関心の生活をしてきたから何も分らない。

反省したものの… 今さらどうしようもない。

今は信一でも一緒にいてくれたら… という気持ちだった。


信一… 真輔は午前中に初めて友達と認識した信一だが、

数時間後にはとても重宝な友達になっていた。


勿論、信一が断ることはなかった。


もともと龍雄が真輔と二人で教室を抜け出していた時でも、

本当は自分も一緒に話をしたかったのだ。

しかし、真輔は自分を見ようともしなかった。

だから遠慮していた。


今は… 真輔から電話があり、

一緒に探してほしい、ということを頼まれた。

断る理由はない。

ちょっと変わった雰囲気の真輔だが、
どこか魅力が感じられる。

第一、龍雄の事なのだから、
真輔ばかりに任せられない。

自分が役に立つものなら、
喜んで動きたい。

それに… 
真輔はどうやら自分を龍雄の次に友達と認めているらしい。


病院まで真輔は地下鉄で、

信一はバイクで来ていた。

真輔は吉沢百合子のことを話し、

探し出したい、と信一に告げた。

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