一方通行な恋心
 後ろにいる女性たちの会話に私は聞き耳をたてている。

 そっかー。

 霧島君と三崎さん、一緒にコンビニに行ったりしているんだね。

 二人とも、一人暮らししてて、借りてるアパートも近いって話していたし。コンビニに行くこともあるんだろうなあ。

 やっぱり羨ましい。

 三崎さんは、住んでる場所も霧島君と近くて、大学でも部活でも一緒に過ごせて。

 いつでも霧島君の近くに居られる。

 私は違う。

 私から、「会いたい」と電車に乗って、霧島君の通っている大学に来なければ、ずーっと会うことも、話すこともないんだもの。

 後ろで会話している霧島君と三崎さんの恋人説を聞きながら、私は「はあ」っと息を吐いた。

 霧島君が好き。だから見ているだけで……それだけで幸せだって思ってた。

 だけど、やっぱり私の知っている人が、私よりも霧島君の近くにいるって……ズルいって思ってしまう。

 私、嫉妬深いなあ。

 霧島君と付き合っているわけでもないのに。欲張り過ぎだ。

< 19 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop