一方通行な恋心
『体育館裏で待て』

 ブルブルっとバイブが振るえて、私は携帯を取り出した。

 霧島君からだっ!!

 午後の練習前に、ランチに行けそうなときは必ず霧島君からメールが届く。

 私は、つい数秒前まで三崎さんに嫉妬してことも忘れて、嬉しさで口元が緩んでいた。

 自分の隣に置いていた大きな鞄を肩にかけると、振り返る。

 三崎さんは確かに羨ましい。

 できることなら、三崎さんがいる場所に私も立ちたい。

 霧島君の近くで、応援して、手助けできることは何でもしてあげたい。

 だけど、私はわたしだ。

 何をどう努力しても、三崎さんみたいにはなれないし、三崎さんの場所には立てない。

 なら、今できることを、全力投球するのみなんだ。

 
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