一方通行な恋心
霧島君が案内してくれた定食屋はすごく美味しかった

霧島君おすすめのハンバーグ定食を、二人で頼んで完食した

家で作るようなハンバーグの味で、霧島君は好きだと話してくれた

「園崎、家からここまでって片道で2時間くらいかかるだろ? 毎週来てるけど、平気なの?」

食事を終えた霧島君が質問してきた

毎週…? 来てるのを霧島君は知っているの?

見に来ているのを知られていたなんて、ちょっと恥ずかしいかも…

「あ…うん。公開練習って午前中だけだから。霧島君こそ、通学大変なんじゃない?」

「いや。俺は大学の近くのアパートを借りてるから」

「一人暮らし? すごいね」

「凄くねえよ。兄貴が結婚してさ。嫁さんが来るから、家を出てけって」

「寂しいね」

「寂しくはない。家なんて、帰って寝るだけだし。バスケに集中できる環境になって良かった」

霧島君がコップに入っている水をごくごくと飲んだ

霧島君って、一人暮らししてるんだあ

すごいなあ

一人で生活しているなんて、私にはまだまだ考えられない世界だよ
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