桜の木の下で。

そして、土曜日。
大野先生の出身大学のオープンキャンパスに参加をする。
「広いっ・・・」
その時だった。
「か～のじょっ♪迷子？」
私は声のする方を見た。
そこには大野先生が居た。
「大野せ――」
大野先生は手で、私の口を塞いだ。
「シーッ。ここ、公共の場」
私は大野先生の手を取った。
「な、何で居るの！？」
「ん？俺の知り合いがこの大学の研究所に居るんだ。んで、お前が来るって聞いたから♪」
「何それ・・・」
「まぁ？お前とは接見禁止とかじゃないからな～・・・」
接見禁止って・・・。
「・・・東雲」
「何？」
「・・・大きくなったな～・・・」
大野先生は私の頭をポンポンと叩いた。
「身長縮むっ！」
「あれ？橘は？」
「有子は宗谷先輩とデート。あの子、一応就職希望だから」
「そうか・・・。じゃぁ、宗谷の所に――」
私は大野先生の言葉を遮った。
「それ、禁句ですっ！」