ほんとうの卒業
ほんとうの卒業
まだ冬の風が残る3月最後の夜。
地元でも人気の高校に合格し、街で見かける度に視線が釘付けになっていた。
その憧れの制服が部屋の壁にかけてある。それをにやけ顔で制服を見つめる雪華(ユキカ)。
『雪華よく頑張った!勉強は試験前日に少ししただけだけど―‥、運が良かったし、合格しちゃえば関係ない!!早く制服着たいなぁ―。』
雪華は高校が受かったことよりも、制服が着れる喜びでいっぱいだった。
机に置いてある小さな卓上カレンダーを片手に、入学式の日にハートマークを付けた。
『あ――――っ!!明日は"エイプリルフール"だ。この日だけは、ウソついても笑い話に出来る日。でも…、犯罪になるウソはさすがに笑い話にならないから、きゅんしちゃう萌え的なウソをクラスの男子全員に送信しょ!女子は…後々めんどくさいから、"高校行けなくなった"とかの、悲しい系にしょ!』
雪華のクラスは"卒業しても3組の友"っていう物をクラスで作っていた。
"卒業しても3組の友"には、携帯番号とアドレスが全員分記載されてるもの。
それは、団結力があり学年で1番まとまりがあったクラスだから作れたもの。他のクラスの生徒も"3組は楽しそう""3組になりたかった"など、憧れのクラスでもあった。