現代☆妖怪術

陰陽師 誕生秘話

　極東の国『倭』。
　そこにはある噂がある。
　『陰陽師が誕生した暁には全ての妖怪が黄泉返る。善も悪も彼の手によって解き放たれる』
　陰陽師　安倍清明が解き放つ。

　目覚ましがなった。
　「うるさいなぁ・・・。わかったよ、起きる、起きます」
　そう呟いて安倍清明は起き上る。
　「今日は歴史があるなぁ・・・」
　清明は歴史が嫌いだ。
　なぜかというと名前でからかわれるからだ。
　今、やっているところは平安時代。
　本名　あべ　きよあき。
　漢字で書くとあの天才陰陽師、安倍清明とおなじだからだ。
　そんなことを思いながら階段を降りていると足を踏み外した。
　「大丈夫ですか？」
　話しかけてきたのはメイドさんだった。
　死んだおじいちゃんの遺産。
　メイド　暁　瑠璃歌。
　「ご主人様は足元にお気をつけて歩かれた方がよろしいと思いますわ」
　「あいてて・・・。そうだね、考え事してたら足元が不安定になる」
　「朝食ができております。どうぞお召し上がりを」
　瑠璃歌のご飯の腕前はそこら辺のシェフにも負けないくらいの腕前。
　朝ご飯がいつも豪華ホテルの朝ご飯のようだ。
　「んじゃ、行ってきまーす」
　「行ってらっしゃいませ」

　学校は好きだが授業は嫌い。
　中学一年生は窮屈なことが多くある。
　清明は文芸部に所属している。
　特に本が好きなわけでもないがとてもユニークな先輩がいたからだった。
　「おっはよ～！！きーよあーきくんっ」
　「どわぁあぁああ～～～」
　後ろからドンッと背中を押された。
　「か・・か・・か・・」
　「あっはは～。どうしたのかな？私の名前を忘れるほどショックが大きいのかな？」
　朝から清明の記憶を吹き飛ばしたおてんば娘は同じクラスで席も隣の女子　鏡　梨奈。
　清明はクラスでも目立つ方だ。
　名前もそうだが半分は梨奈のおかげだろう。
　「よっ！おはよ、キヨ」
　髪は茶色（地毛だというが絶対染めている）で耳にピアスをしているこいつは班が同じ男子　飯島　猛。
　清明はクラスではキヨと呼ばれる。
　「今日の歴史、お前が出てくるといいなあ」
　「だーかーらー、俺はき・よ・あ・き！あっちはせいめいだろ！？」
　「漢字が一緒ってことは全てにおいて一緒なんだよ」