現代☆妖怪術
 清明は兼が嫌いだ。
 なぜか自分のことをライバル視してくる。
 最初は梨奈のことが好きで仲良くしている清明を気に入らないと思っていたが猛のことは特に何も思っていないようだ。
 「あ、猛、梨奈。これ、誰が入れた?歴史の教科書にはまってたんだけど・・・」
 猛は紙を奪ってじっくりと見ていた。
 「・・・綺麗な字だな。梨奈じゃないのか?」
 「私はもっと字が丸いもん。この字はクラスの学級委員長の字に似てない?今日休みだけど・・・」
 クラスの学級委員長 早阪 結菜。
 眉目秀麗 頭脳明晰 文武両道の完璧超人。
 休み時間などはいつも読書をしている。
 声を聞いたことはあまりない。
 授業はじめのあいさつくらいかもしれない。
 「あ、次、移動教室だ。美術か。いこーぜキヨ」
 「ちょ、ちょっと待って。あれ?」
 「・・・忘れたのか?」
 「・・・」
 目を反らす。
 「ま、いざとなったら見せてやるよ。早くいこーぜ」
 「・・・神様」

 四限目の理科も終わって昼休みになった。
 「今日、俺学食なんだわ」
 軽く梨奈を睨んだ。
 「あのナルシストには気をつけろよ」
 「ああ」

 珍しく兼がいない。
 「ちょっと感動だな」
 先ほど食べられてしまったクリームパンを頼んで袋を開けた。
 流石に瑠璃歌までとはいかないが意外とおいしい。
 新発見だ。

 放課後、部活には行かずに本屋へ寄った。
 ついでに猛はサッカー部、梨奈は吹奏楽部だ。
 帰りが一緒になるということは滅多にない。
 本屋で立ち読みをしていると鈴の音が聞こえた。
 {・・・見つけた。我が主・・・}
 「?。幻聴か。最近寝不足だな」
 {主人、僕たちを忘れてしまったのですか?そんなぁ・・・}
 最初、女の人の声が聞こえたのに次は少年の声だった。
 あまりにも鈴の音がうるさいので本も読めない。
 {主人!?どこへ行かれるのです?待って待って}
 「・・・あーもうっ!誰だよ、うるさいなぁ」
 {私たちが見えないの?}
 {声は聞こえているはずです。何か言ってください}
 何か言ってと言われても質問もされていないし、まず自分に言っているのかもわからない。
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