現代☆妖怪術
 「我が主。私たちはあなたとこの世界にいる陰陽師にしか見えないのよ」
 「だから僕たちのことは空気と思ってください」
 猫耳女の子は瑠璃歌の後ろを陣取っている。
 「では、私はこれで・・・」
 瑠璃歌が部屋から出ていく。
 「ちょっと座って?」
 「はーい」
 「君たちは一体なんだ?」
 「妖怪です。僕は天狗」
 「私は狐よ。注意だけど九尾じゃないから」
 まあ尻尾が一つしかないから誰も九尾だとは思わないだろう。
 「君、狐?その仮面は何?目が悪いの?」
 狐の女の子は清明から顔をそむけた。
 「これは・・・」
 「僕が説明しましょうか?これは、あなたにとって辛い思い出でしょうから・・・」
 「・・・お願い」
 狐は部屋を出ていく。扉をすり抜けていく場面は「本当にこんなことあるんだなぁ」くらいの思いだった。
 「あの仮面は『罪の証』と呼ばれるものです」
 そこから天狗は延々と語ってくれた。
 難しい言葉がありすぎて途中から分からなくなった。
 「つまり、あの仮面は生前に罪を犯したり自殺とかした人が付けられる『証』ってわけ?」
 「流石ご主人様!物分かりがよろしいですね」
 「・・・」
 親指立てられてもうれしくない。
 「てか、君たち名前ないの?」
 「名前?それはご主人様が『契約』してくれたら教えてもよろしいのです」
 何かたくらみがありそうだ。
 でも名前が分からないというのは不便だ。
 「その『契約』っていうのは?」
 天狗の目がキラキラ光った。
 ヤバい。かわいい。これが男の子だからなぁ・・・。
 「話、終わった?」
 扉から顔だけ出している。
 これ、夜に見たらホラーだな。
 「終わりましたよ。それより聞いてください!ご主人様が・・・」
 「なになに?」
 「ちょっと!待て待て、まだ『契約』するとは一言も・・・」
 狐の尻尾が大きく揺れた。
 うれしいことを表しているのか?
 「我が主、今日って満月?」
 「え、ああ。多分ね」
 「・・・我が主、今日は外に出てほしくない」
 九尾は外を見た。風が強い。





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