歪みゲーム
兄
「………っ、う」
王子が起き上がった。
「リュウ君、大丈夫?」
「ん…。こんぐらい日常茶飯事」
なわけあるか。
あっ、つっこんでしまった。
「あれ?白ウサギは王子様に夢中なわけ?だってよ、アリス。弟にとられちゃったねぇ」
彪也さんの呑気でご機嫌な声が聞こえる。
しかし、アリスは無視。
そう簡単には、挑発にはのらない。
「リュウ、ケガ見せてみろ」
すぐさまユウが駆けつける。
ユウは、私たちより年上でしっかりしてるから、多少のケガなら処置できるのだ。
「大丈夫だって。ユウさんは心配しなくていい」
王子は、撃たれた左腕を右手で抑えながら歩いた。
「いててて…。少し痛むな…。門番、包帯持ってるよな。巻いてくれ」
「あ、あぁ…」
圭さんは、力ない声で返事した。
そして、ポケットから包帯を取り出し素早く王子の腕に巻いた。