歪みゲーム
そして、彪也さんが口を開いた。
「俺は、情報屋の息子なんだよ」
彼はそう言った。
しかし、それは関係あるのだろうか?
「人というものは随分と面白い。
恨めば、殺したり陰口を言う。人を愛すれば、性行為するやつもいれば束縛するやつもいる。
人は本当に面白いよ。だから俺は、人が大好きだ。
そんな大好きな人が何をしているか知りたい。何か面白いことをしていないか知りたい。
だから父は情報屋をしている。もちろん、俺も同じ考えだからそれなりに情報は知っているよ」
そして、と彼は言葉を続ける。
「面白いことを探していたら、見つけたんだよ」
みんな察したのだろう。
重かった空気がより一層重くなる。
「この歪みゲームを」
あぁ、やっぱり。
彪也さんは知っていたんだ。
この歪みゲームを。
この、恐ろしく狂っているゲームを。