歪みゲーム
「しかし、少し違う形にするって…どういう意味だ?」
「殴れば壁をへこませられるんじゃない?」
ましろは、軽く壁を殴った。
「………無理だろうな、恐らく」
黒霧が口を挟む。
なんとも、嫌みな言い方だ。
「え、なんで無理なんだよ?」
呑気なましろの声が響いた。
「………やってみればいいだろう」
黒霧がそう言ったので、ましろは立って壁に向かって殴った。
しかし、傷がつくことなんてなく、むしろましろの手に傷を残した。
「ってえ…」
ましろの手からは、ほんの少し血が流れた。
「これは歪みゲームだ。そんな単純ではない。少し狂った考えではなければならない」
ほんとに嫌みだ。
しかし、黒霧の言うことは正しい。
さすが、過去に体験しただけある。