歪みゲーム
俺は、いろんなところを切られた。
気がついたとき、母は殺されていた。
“ごめん…ごめんな、ユウ”
ヨウは泣きながら何回も何回も謝った。
“僕、母さんのこと殺しちゃったよ…”
ただ、兄は泣いていた。
でも俺は許さなかった。
許せなかったんだ。
“ごめんな、ユウ…。僕も、僕も傷つくから…”
そう言ってヨウは、自分の頬に×印の傷をつけたんだ。
俺たちは家を出た。
しばらく歩いていると、4人の子供が歩いてきた。
“ねぇねぇ。お兄ちゃんは、ご飯つくれる?”
当時7歳だった、まあみが話しかけてきたのがきっかけで一緒に暮らすようになったのだ。
“うん、つくれるよ”
“本当!?じゃあ、一緒に暮らそうよ!”
それから俺たちは暮らすことになったが、俺たちの過去にあった本当のことは話していない。
ヨウが少し事実を変えて話しただけだった。
だからまあみもアキラもましろも、皆知らない。
この頬の傷の意味を。