歪みゲーム





「っ、タク、マっ…」


姉は泣いていた。


笑えないのに、泣けるんだな。


「なんで…なんでぇ…」


そう言って泣き続ける。


不意に、あの日のヨウと被って見えた。


「私たちには、親がいないのっ…」


姉が喋り出した。


「そしてもう一人、お姉ちゃんがいたわ。お父さんは、私とお姉ちゃんが殺したの…」


姉と姉の姉が?


………ややこしいな。


「そして、お母さんはタクマが殺したわ。でも、それが間違いだった」


姉は、泣くのをやめ床をジッと見つめた。


「タクマは、それが快感だと言って…お姉ちゃんまで殺したの」


姉は震えていた。


やっぱり泣いているのかもしれない。


「あのときタクマは言ったわ。お姉ちゃん、殺していい?って。そしたらお姉ちゃん、笑って、いいよ、って…」


なんていうお姉ちゃんなんだ…。


死にたかったのか?


「お姉ちゃんね、タクマと私に寂しい思いはさせたくないって…なんでもお願い事聞いてくれたんだ…」


………いいお姉ちゃんじゃないか。






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