歪みゲーム
ガチャ
チェシャ猫さんが、青い顔をしながら入ってきた。
この状況で一番普通なのはチェシャ猫さんっぽいから仕方ないのかな。
「大丈夫、知ってるから、俺。リュウはまだ時雨が好きなんだろう?」
「……俺は、兄貴が人を殺すようなやつだったかと思っただけだ」
アキラは私を抱きしめ、ナイフを取り出した。
そして、私の首にナイフを当てた。
「俺はまあみを愛してるんだ。まあみが望むのなら、何も惜しまないさ」
私が望むのなら、ね。
「リュウ君、君は死ぬの怖い?」
私は、アキラからナイフを奪って王子に聞いた。
「別に」
王子がそう言うから、私はそのナイフを王子に向けた。
「じゃあ、死んでよ?」