徐々に僕は君色に染まっていく
「じゃぁ、荻野の隣でいいや」

少し、期待している自分がいるのに気づいた
ここまで偶然が重なれば
もしかしたら、隣に座るかな?
とか、考えたけど
そんな上手く事は進まず
ため息を必死に飲み込んだ

「授業、すっぞ」

授業に集中出来るはずもなく
彼女を盗み見た

「俺、荻野日向。日向でいいよ」
「えと、柚月はるです。お好きに呼んで下さい」
「じゃ、はるで♪」
「はい」

そこにはニッコリ笑う彼女と
頬を紅く染める親友がいた

「荻野・・・」
斜め前から今にも泣き出しそうな声が聞こえた
そこには辛そうな瞳をした酒井さんがいた
こんな酒井さん、見たことがなかった

きっと僕もあんな顔してるんだろう
あれだけの事なのに胸が痛くて仕方ない
胸が騒いで仕方ない
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