REAL HOPE Ⅱ

あの瞳




ガチャリ、


なるべく静かに鍵を開けて扉を閉めるのは、もう癖のようなもの。



玄関に鞄を置くと、

ヒタヒタと足音をたてながら




台所の棚からグラスを取り出す。水道のジャグチを捻ると


透明なガラスへと吸い込まれていった。


ひんやりと喉に通るものを一気に飲み干してグラスを置くと




リビングには、ジャグチからぽたぽたと垂れる音だけが響いている…



キィー



リビングの扉が後ろで開く音が微かに聞こえるのは、きっと気のせいじゃない。




「今帰って来たのか」




「………」





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