幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
「長州は負けちょらん」
は?
「砲台など、五つでも、六つでも、欲しいだけやる。じゃが、戦の勝敗っちゅうんはそういうもんじゃない。」
ん?そういうもんじゃない?何言ってんの?高杉さん。
「貴艦隊の陸兵力はわずか二千や三千じゃろ。我が長州藩は二十万や三十万の兵は動員出来る。本気で内陸戦をやりゃあ、貴国の方が負けるんじゃ。よって、我々は、講和する。じゃけど、降参するのではない」
…。
すっごい、減らず口っ!
ほら、向こうさんだって、呆れて笑ってんじゃない。
けど、なんか…。
『わかった、わかった』
って感じのオーバーアクションで、話が前に進み始めちゃった!

その結果、五箇条の停戦協定が結ばれた。

一、関門海峡通過の保証
一、石炭、食糧などの供給
一、天候不良時の乗組員の上陸
一、砲台の修理や増設の中止

最後に賠償金なんだけど、その額ってのが三百万ドル。
三百万ドルってのがどのくらいの価値がある額なのかわかんなかったけど、高杉さんが急に無口になって、伊藤さんの方を見た。
伊藤さんの説明によると、三百万ドルってのは、長州が五十年かかっても支払えないような額だそうで。
そこで、再び、高杉さんの大胆発言っ。
「攘夷は、幕府の命でやった事じゃけぇ、金は幕府に請求してくれ。長州は一銭も出さんっ」
これには、向こうも、大きくうなづいて納得しちゃって、

一、賠償金は後日、幕府と交渉

ってことになっちゃった。
けど、高杉さんって、ほんと、心臓に毛が生えてると思う。
正直、負けて、交渉に来たっていうのに、すっごいシャキッとしてて、言いたい事言っちゃうんだもん。
横で見てる方が、殺されるんじゃないかって、びびっちゃった。
とにかく、この五箇条を決めて、第一回目の交渉は終わった。

交渉の報告をするために、下関から、一旦、船木って所にまたまた馬に乗って移動。
けど、この調子だと、四国連合艦隊との交渉は上手くいきそう。
なんたって、こっちには、大胆不敵の『宍戸刑馬』がついてるんだもん。
次の交渉はいつなんだろうなぁ。

ああ、馬に乗っての移動だったし、今日は疲れちゃった。ちょっと早いけど、もう寝ちゃおっと。おやすみぃ。

「織田っ、織田っ」
ん?高杉さんの声。
なんだろ?声を潜めてるみたいだけど…。
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