幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
「今まで僕らは攘夷を進めてきた。しかし、今はその攘夷を放棄して外国と講和しようとしよる」
「はい」
「あん時は、攘夷すべき時、今は講和すべき時なんじゃが、それがわかっちょらん連中が多い。攘夷熱が冷めちょらん奴らは降伏は売国行為じゃと騒いじょる。そいつらが藩になんで講和したんかと詰め寄ったんじゃ。」
うん、うん。わかる、わかる。
「そこで、詰め寄られた藩は、己の身の危険を感じ『講和は高杉と伊藤と井上が勝手にやった事で藩とは関係がない』と言ったそうじゃ」
「えーーーっ!そんなっ」
「でかい声を出すな」
「あ、すみません。でも、自分の身が危険だからって、人を危険にさらすことないじゃないですか」
馬鹿にしてるっ。
「役人とは、そういうもんのようじゃ」
な、なんか、悟っちゃってる、高杉さん。
ま、まさか、死を覚悟してるなんて事ない、よ、ね…?
「これから、どうするんですか?」
「しばらくは、ここにいるしかあるまい」
はぁ…。不安だ。
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