幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
さて。
あたしたちは高杉さんに連れられて、奇兵隊の屯営にやってきた。
ここには、奇兵隊の幹部が集まってる。
高杉さんは何をする気なんだろう。
高杉さんは奇兵隊創設者の立場を利用して、幹部に話を始めた。
とりあえずは、これから長州の進むべき道について説いてるけど、皆、理屈はわかるけどって顔してる。
ただ、今は、藩の政権は俗論派がしっかり握ってるし、赤根さんも慎重になってるから、皆、思い切れないでいるのよね。
なんか、きっかけがほしいっていうか。
ダンっ!
お〜、びっくりした。
イライラするからって、急に台叩かないでよ、高杉さんったら。
ほら、皆もびくっとして、目ぇ見開いて、高杉さんの方、見ちゃってるじゃない。
「諸君が因循遅疑しちょるのは、赤根に騙されちょるからじゃっ!」
え?
「赤根武人は所詮、大島の土百姓ではないかっ!これに反して、この高杉は毛利家普代恩顧の士じゃっ!僕について来りゃあ、間違いないんじゃあっ!!!」
「…」
皆、引いちゃってる…。
「…」
引きまくっちゃってる。
「…」
あたしと伊藤さんは高杉さんを引きずるように屯営から連れ出した。
身分を問わない奇兵隊を作った高杉さんが、身分の事まで言っちゃうなんて。
皆が動かないのが、よっぽど悔しかったんだろうな、高杉さん。
これからどうするつもりだろう。
「言ってダメなりゃ、行動で示すのみじゃ」
帰り道、落ち着きを取り戻した高杉さんが、そう呟いた。
「行動?」
「そうじゃ。僕らが優勢になりゃ、奇兵隊は必ず動く」
でも、あたしたちって、たったの八十人ぐらいしかいないのに、優勢になりゃって…。
「伊藤っ」
「はいっ」
「今から、功山寺へ行くぞ」
え?今から?
もう夜中なのにぃ?
なんて、あたしが言ったところで、止めるような人じゃない。
行くしかないなっと。
でも、功山寺、功山寺って言うけど、この状況を打破出来るほど、そんなに御利益のある寺なのかな。
伊藤さんに聞いてみよ。
「なんじゃ、知らんのか。功山寺は八月十八日の政変で京落ちになった公卿を匿っちょる寺じゃ」
あ〜、あの時、久坂さんたちと一緒に逃げ延びて来たっていう、三条実美さんとかって人たち。
まだ、長州にいたんだ。
あたしたちは高杉さんに連れられて、奇兵隊の屯営にやってきた。
ここには、奇兵隊の幹部が集まってる。
高杉さんは何をする気なんだろう。
高杉さんは奇兵隊創設者の立場を利用して、幹部に話を始めた。
とりあえずは、これから長州の進むべき道について説いてるけど、皆、理屈はわかるけどって顔してる。
ただ、今は、藩の政権は俗論派がしっかり握ってるし、赤根さんも慎重になってるから、皆、思い切れないでいるのよね。
なんか、きっかけがほしいっていうか。
ダンっ!
お〜、びっくりした。
イライラするからって、急に台叩かないでよ、高杉さんったら。
ほら、皆もびくっとして、目ぇ見開いて、高杉さんの方、見ちゃってるじゃない。
「諸君が因循遅疑しちょるのは、赤根に騙されちょるからじゃっ!」
え?
「赤根武人は所詮、大島の土百姓ではないかっ!これに反して、この高杉は毛利家普代恩顧の士じゃっ!僕について来りゃあ、間違いないんじゃあっ!!!」
「…」
皆、引いちゃってる…。
「…」
引きまくっちゃってる。
「…」
あたしと伊藤さんは高杉さんを引きずるように屯営から連れ出した。
身分を問わない奇兵隊を作った高杉さんが、身分の事まで言っちゃうなんて。
皆が動かないのが、よっぽど悔しかったんだろうな、高杉さん。
これからどうするつもりだろう。
「言ってダメなりゃ、行動で示すのみじゃ」
帰り道、落ち着きを取り戻した高杉さんが、そう呟いた。
「行動?」
「そうじゃ。僕らが優勢になりゃ、奇兵隊は必ず動く」
でも、あたしたちって、たったの八十人ぐらいしかいないのに、優勢になりゃって…。
「伊藤っ」
「はいっ」
「今から、功山寺へ行くぞ」
え?今から?
もう夜中なのにぃ?
なんて、あたしが言ったところで、止めるような人じゃない。
行くしかないなっと。
でも、功山寺、功山寺って言うけど、この状況を打破出来るほど、そんなに御利益のある寺なのかな。
伊藤さんに聞いてみよ。
「なんじゃ、知らんのか。功山寺は八月十八日の政変で京落ちになった公卿を匿っちょる寺じゃ」
あ〜、あの時、久坂さんたちと一緒に逃げ延びて来たっていう、三条実美さんとかって人たち。
まだ、長州にいたんだ。