幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
下関に戻ってきた。
ほんとに軍艦奪ってきたんで、伊藤さんがびっくりした顔してる。びっくりするよね、そりゃ。
たったこれだけの人数で、軍艦三隻も奪ってきたんだもん。
そこらのケチな強盗より、よっぽど腕がいいわよ。

そして、高杉さんがやった事は、あっという間に長州中に知れ渡った。

「高杉さんっ」
「どうした、伊藤」
「奇兵隊が動きましたっ」
「奇兵隊がっ」
「萩に向かって、出動したそうですっ」
「…そうか。奇兵隊が動いたか」
あ、ニマッて笑った。
高杉さんの計算通り、高杉さんのクーデターが優先になったんで 奇兵隊が動いたんだ。
「織田」
「あ、はいっ」
「これからが、本番じゃ。まずは、なんとしてでも藩論を倒幕に持って行く。そして…」
「そして…」
「幕府の攻撃を持ちこたえられたら」
「…」
「後は一気に幕府を叩くっ。そして、新しい時代の幕開けじゃ」
う〜ん、この言い切りっ。
目が燃えてるっ。
白石さんが言ってたな、そういえば。
『高杉さんのように、時代を作りあげて行く気で、懸命に生きなさい』
って。
よしっ、あたしも、俗論派と徹底的に戦うぞぉ。
そして、高杉さんと一緒に、新しい時代を見るんだっ!


「織田…、織田…」
ん?
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