幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
「おもしろき、こともなき世を、おもしろく…」
ガラッ!
「起立っ!」
あ、ヤバいっ。
科学、科学っと。
「気をつけ、礼。着席」
「え〜、今日は…」
おもしろき、こともなき世を、おもしろく…か。
ふふ、高杉さんらしいな。
いつだって、じっとしてなくて、思いたったら、すぐ行動。
そのくせしっかり計算してあって。
やっぱり、夢だったのかなぁ。
まぁ、いきなり、向こうの現実に入っちゃった事、最初は透明人間で、そのあと、姿が現れたら、高杉さんに馴染んじゃってた事。
確かに夢だと思えば、この矛盾は全て納得がいくもんね。
残念ながら…。
でもっ、結構リアルだったのに。
それに、久々に、なんか、ドキドキしたし。
生きてるって、感じがしたっ。
もう一つの現実。
仮想現実。
バーチャルリアリティー。
最先端の科学を駆使した画期的なコンピュータの成せる技、か。
バーチャルリアリティーって、現代のおもしろくない世の中から、目を逸らすために、人間が考え出したもう一つの世界かもしれないな。
目の前にある現実を変えようとしないで、自分たちの都合のいい現実を求めて作る、仮想現実…。
『織田さん、人生は一度しかありません。悔いの残らぬよう、懸命に生きられることです。時代に流されるのではなく、自分の信じる道をしっかり生きていくことです。ここにおられる、高杉さんのように』
受験生のあたしにとって、今はあんまり、おもしろい時じゃないけど、悔いが残んないように、懸命に生きなきゃね。
いつだって、しっかり現実を見つめて、自分なりにおもしろくしていかなきゃ。

いやぁ、今日の日本史の授業はいつになく、ためになったなぁ。
なんだか、日本史、好きになりそう。

あっ、そうだっ。
紀ちゃんと、数衛と行こうって言ってた卒業旅行、山口に行こうって言ってみよっと。
長州って事は、今の山口県だもんね。
関門海峡で高杉さんと並んで見た真っ赤な夕日。
本物はもっと綺麗かもね…。
「じゃ、この科学式が解ける者、手を挙げろ」
…。
「誰にやってもらうかな。ん?」
…。
「こらーっ!」
…ん?
「起きろっ!織田芽衣!」
「んあ?はいっ!すみませーんっ!」


−完−
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