幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
奇兵隊発足
「これが現実じゃのう。欧米諸国と日本とじゃ、所詮、戦闘能力が違いすぎちょる」
高杉さん、それがわかってて、戦争吹っかけたの?単に、ノーテンキでやったんじゃないの?
フランスもアメリカも引き上げてはくれたけど、長州が海峡封鎖の方針変えたわけじゃないから、とりあえずまた、体勢立て直すために帰って行ったって感じだもんね。また、いつ攻めてくるんだか。

でもって、高杉さんは、この状況を『なんとかするように』って、藩のお偉いさんに言われて、屋敷を見るからにして金持ちってわかる、白石正一郎って人の家にきてる。
高杉さんって見かけによらず?藩のお偉いさんに頼りにされてるような、結構上級武士みたい。

で、私もいつものワープ?で一緒に来てる。
多分、察するに、このゲームは高杉さんがメインキャラなんだろうな。

「井上さんと伊藤さんは今頃、イギリスでどうされちょりますかね」
「そうじゃのう。まあ、あいつらの事じゃから、藩命じゃと思うて、真面目にいろいろ学んじょると思うが。白石さん、あなたも一度、外国に行ってみられるとええ。前に上海に行った時にようわかったが、日本が鎖国しちょう間に外国はどんどん進んじょる」
「そうでしょうな」
ちょっと、ちょっと、ちょっと。何よ、それって。
攘夷だなんだって、外国船撃ちまくってたくせに、その外国に勉強しに行ってる人がいるっていうの?
しかも、藩命だって。くぁ〜、なんてしたたかな藩なのよ、長州って。

「白石さん」
ん、高杉さんが、急に真顔になった。
「僕は、上海で欧米列強による、半植民地化の惨状を見てきた」
「そうでしたか」
「もはや、時代は武士じゃ、農民じゃ、商人じゃと言うちょる時じゃあない」
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