僕の愛した生徒
戸を開けた僕に、生徒たちの視線が一斉に注がれ心拍数は更に上がる。
一番先に目に入ったのは藤岡で、
一瞬、目が合ったが藤岡はすぐに視線を逸らした。
朝のHRはいつものように始まり
ここでも生徒たちの反応は
昨日と変わらない。
“藤岡は昨日のことを、誰にも話していない”
僕はそう確信した。
英語の授業時間、
僕は教室全体を見回しながら授業を進めていく。
時折、僕の視線は藤岡を捉えるが
藤岡は相変わらず窓の外を眺めていて、僕と目が合うこともなかった。
しかし、昨日のことを弁解…
謝っておかなければ。
この日の僕は藤岡と話すチャンスと言い訳を探していた。