僕の愛した生徒
放課後。
僕が職員室でテストの採点をしながら、ふと校庭を眺めると、僕の視界に藤岡の姿が入ってきた。
サッカー部のマネージャーをしている藤岡は選手並みに汗を流している。
メガホンで声をかけながら
ゴールからゴールへ何往復も走り
時折、選手たちにドリンクを配ったりタオルを渡していた。
一生懸命な藤岡の姿に
思わず口元が綻びる。
「小野先生。
どうかされましたか?」
隣の席に座っている浅野先生は怪訝そうに僕を見た。
「いえ…」
僕はそれだけ答えて
まだ訝る様子の浅野先生をよそに採点に集中した。