僕の愛した生徒
今年度も残すところ、あと半月。
僕は相変わらず、奈菜を見る度に些細なことで奈菜を責めた。
分かってるんだ。
それが理不尽なことも、
奈菜を責めたところで、この気持ちが収まらないこと、
何一つ解決しないことも。
奈菜を傷つけたいわけではない。
優しくしてやりたいのに。
いざ、奈菜を前にすると、
どうしようもなくて……
だから、学校を離れ一人になれば
奈菜に向けた言動の罪悪感に苛まれ、
心に空いてしまった穴を埋めることもできずに、正体の見えない何かに怯えた。
物音一つしない部屋。
一人になる夜に襲う孤独が
怖い……
僕は震えることが無くなった携帯電話を、ただ見つめる。
奈菜に対して酷いことをして、
もう、奈菜から連絡がくるはずもないのに
“もしかしたら……”
この気持ちが、僕の中からまだ消えないで、どこかに少しだけ期待が残っている。
そんなことは有り得ないのに。
奈菜に怒りを覚えた日から
こんな毎日の繰り返し……