これからも君だけ
そんなギャーギャー騒ぐ私とは裏腹にやっぱり湊君は余裕そうに私を見つめると
「五分以内にロビーに来い」
「…え?五分?そんなの無理…」
五分なんかで準備が終わるわけない。だって今からこのグチャグチャの髪を直してお化粧をして制服に着替えないといけないんだ。
メイドさん達がいたらなんとかなるのかもしれないけれど、私にはそんなに早く支度を終わらせる技術など持ち合わせていない。
「なら先に行く」
そう呟いた湊君は長い足で革靴の音を響かせながら私の部屋を出て行こうとするもんだから、思わず
「分かった!五分でやる!待ってて!」
もし湊君に置いて行かれたら学校への道のりなんて分かるはずない。確実に迷うのが目に見えてる。