これからも君だけ
「陸 おはよーっ」
「結愛(ユア)ちゃんおはよ〜」
教室に入ると私の親友 結愛ちゃんが手を振って手招きしてくる。
結愛ちゃんは黒髪色白美人でまさにクールビューティーそのもの。
そんな大人っぽさがとってもステキで、しっかりとした性格にいつも私は助けられている。
「ちょっと陸、あんたずいぶんと今日はもっさりしてるわね」
「もっさり?」
結愛ちゃんはビシっと人差し指で私の顔を指すと
「寝癖!スッピン!リボンの傾き!そんなんじゃ風紀委員に怒られるよ?」
「うー、だって朝 時間無くて…」
「時間?メイドさん達起こしてくれなかったの?」
ここにいる学園の生徒のほとんどが、お金持ちや大企業の家に生まれた御坊ちゃまお嬢様。
家にメイドさんや執事がいるのは当たり前で日常的な事。
「えーっと、ちょっと眠くてなかなか起きれなかったの」
さすがにここじゃ湊君の事は言えない。
こんな教室でもし誰かに聞かれたらと思うと…背筋がゾッとする。
しかも湊君に口止めをしたのにもかかわらず、もし私が誰かに言った事がバレたら…きっとあのエセ王子からとんでもない仕打ちが待ってるに違いない。
あとで誰もいない時に結愛ちゃんにはこっそり話そう…