これからも君だけ
「カッコイイって誰が?」
「えーそんなの朝陽先輩にきまってるじゃんー!」
クッションに向かってそう答えてすぐ
ん?
今の声って…
丸々ようにして座っていた体制を起こし、勢い良く声のした方へと振り返る。
「湊君!!」
そこには制服姿の湊君
そして何故かその表情は不機嫌で
「お前が好きな奴って五十嵐先輩か」
冷たい瞳で私を見下ろす。
これは完全にバレたやつ…
いや、これでバレ無い方が逆におかしいよね…
「ふーん、優しい男が好きなわけだ」
もうこうなったら開き直るしかない!
「そうよ、だから何?」
持っていたクッションをソファーに置いて立ち上がると湊君がハッとしたかのように怪訝そうな顔をする。
それから目をそらすように横を通り過ぎようとしたその瞬間フワッと風が私にかかり…それは湊君が私の首元に顔を近づけて来たんだと分かる。でもそれに気がつくには少し時間がかかって…
「男の匂いがする」
「え?」
クンクンっとまるで何かを嗅ぐように近づく湊君。