甘い恋には遠すぎて


『今年のクリスマスは、みや美にとってはなんだか大変な事になりそうだね。』


『なんで?』


『だってクリスマスとなりゃ、貴ちゃんだってみや美、誘って告白とか考えてるんじゃない?』



『……ま、まさかぁ。』

『普通の男なら、誘うでしょ?……普通ならね。』



そうこうしてるうちに麻由子のバイト先に着いた。


木製の重たいドアを開けるとカランカランと音がして中から女性の


『いらっしゃいませ。』

という声が響いた。


テーブルが5つとカウンター席が少し、人の良さそうなおじさんのマスター、薄暗い店内。およそ女子高生には不釣り合いな感じのお店だ。


店内には静かに本を読んでいるお客さんが一人っきり。



案内された席に静かに座る私達。


麻由子がカウンターから小さく手を振る。
私は、マスターにペコリと頭を下げ、麻由子に小さく手を振り返す。




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