甘い恋には遠すぎて
麻由子ではない女性店員がお水を持って注文を聞きにきた。
私達は、アメリカンを頼み、ヒソヒソと話しをする。
『ここで麻由子働いてるんだ〜。』
『なんか凄い雰囲気あるよね。制服なんかで来なきゃよかったねぇ。』
注文したアメリカンが少ししてから運ばれてきた。
『お待たせ致しました。』
女性が右手で私の前にコーヒーカップをコトリと置いた時、
ん??
微かに香水の匂いが鼻についた。
いや、キツイ匂いではないのだけれど……
私は、女性の顔を見上げた……
茶色いショートカット……
そしてこの微かに香った香水……
一臣さんのつけていた香水にすごく似ている気が……。
その女性は、目が合うと優しく微笑み
『どうぞごゆっくりなさって下さいね。』
そう告げて、カウンターへ戻って行った。