甘い恋には遠すぎて


仕方なしに布団の中で悶々としながら待った。


時計の針が10時キッカリにまた一臣に電話をかけた。


『うるせ〜なぁ……なんなんだよ、まったく。』


何回目かのコールで一臣が出た。
携帯の電源をオフにしないでいてくれて有り難い。


『みや美ちゃんにちゃんとチケット渡してくれたんだろうな?』


『……あぁ、渡した。』

『渡したって、そんだけ?なんかこ〜俺の事とか言ってなかったかよ?』


『言ってない。』


なんだよ、渡しただけか……。


『あっ!!』


突然一臣が大声を上げた。


『なんだよ、びっくりすんじゃんか!!』


ビビッてしまう自分が悲しい。


『抱いたよ……』



『はぁ?抱いた?』



俺は一臣の言った事が理解出来なかった。




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