甘い恋には遠すぎて
二人の背中は小さくなるが、あれは間違いなく
みや美ちゃんと一臣だ。
今直ぐにでも車から飛び出して二人の後を追いたい……
そんな俺の思いとは裏腹に、二人の姿は路地を曲がって消えてしまった。
数分後、ようやく車を停める事が出来た俺は、姉ちゃんたちのいる店に向かうより先に、みや美ちゃんが消えた方向に走り出していた。
間に合うわけがない。
そう思いながらも、全速力で走った。
どうして二人が一緒なのか??
そればかりが頭にちらつく。
みや美ちゃん……
まさか……
一臣が好きなのか?
水族館に行ったあの日、二人の間に何かあったのか?
まさか……
そんな……
走り回って探したが、二人の姿はもうどこにも影もカタチもなかった。
いっそ幻だったらよかったのに……。