甘い恋には遠すぎて
『一臣さん、一緒に来ないと後悔する!』
振り返りそう言うみや美に、ただならぬ雰囲気を感じ、俺は黙ってついて行くことにした。
後悔する…?なんだそりゃ。
引っ張られていた腕がみっともなくなり、俺はみや美の手を握った。
みや美は、振り返らない。
そっと握られた手に心地好い感触。
思わずギュッと握りしめたくなったがやめておいた。
傍からみたらただの恋人同士に見えるんだろうか。
ん?電車に乗るのか?
みや美は切符を買う為に繋いでいた手を離した。
俺はまた手を繋ぎたい衝動に駆られたが、なんかおかしいだろ?という疑問が湧き、出しかけた手を引っ込めた。
…何やってんだ、俺。