甘い恋には遠すぎて
−6時に店を出て裏口の前で待っていれば会えます−
みや美より
綺麗な文字でそう書かれていた。
待つ……?誰を?
腕時計を見ると5時半ちょい過ぎ。
6時に裏口……?
俺は便箋から顔を上げて麻由子を盗み見る。
目が合うと彼女は、やや固い表情で、視線を厨房の方へ向けた。
そして中から現れたのは
−夏稀……?!−
間違いなくあの海で見かけた夏稀だ!!
俺は夏稀から目が離せずにいた。
……こんなに近くにいたのかよ。
でもなんでみや美が知って……?
いろいろな思いが頭の中を駆け巡っていた。
俺の視線に気付いたのか、夏稀と目が合った。