甘い恋には遠すぎて


しばらくして一臣さんが向かうはずの裏口に行ってみることにした。


覗きとは趣味がよくないけど、やっぱり気になって。



しかし、二人の姿は既にそこには



……なかった。



トボトボとあてもなく歩く。


二人はどうなったんだろう?


しばらく行くと道の真ん中にしゃがみ込んでいる後ろ姿を発見した。



−一臣さん!!−



すぐに駆け寄りたい気持ちが湧き上がるが、グッと堪えた。


いや、堪えざるをえなかった。


だって一臣さんの背中があまりに悲しそうで、こちらからは見えないはずなのに、なぜか泣いているように思えて。


私は電信柱に身を寄せて、そっと見守る事にした。


一臣さんは、微動だにせず同じ状態のまま、ずっとずっとそこにいる。


時折通り過ぎる人たちは、振り向いたり、指さしたり何か言いながら歩いていく。




< 200 / 251 >

この作品をシェア

pagetop