甘い恋には遠すぎて


みや美の前にコーヒーを置く。


『ありがとうございます。』


寒かったんだろう、カップに手を添え、温めている。


『で?なんの用件?』



前の俺だったら、面倒くせぇなぁとか思って人の話しを聞いてたけど、コイツと知り合って会話なんてたいしてしてねぇのに、なんとなく穏やかに話しが聞ける気持ちになっていた。


格好悪いとこばっか見られちまったせいかな……。



『コレ……夏稀さんからです。一臣さんにって。』


差し出された封筒を受け取る。


『夏稀さんが、自分がこの街を去ってから一臣さんに渡してくれって……』



去って……?



俺はみや美の顔を一瞬見、封を開けた。


几帳面に折りたたまれた便箋が二枚。




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