甘い恋には遠すぎて
コーヒーショップで一臣さんと向かい合い、手紙を渡した。
時折目を細めるようにして夏稀さんの手紙を読む一臣さん。
きっとこの手紙を読み終えたら……
彼女の元へ行くんだろうな。
そして二人は会話を交わし、きっと二人の今後についても話すんだろう。
どんな結末になるかは、誰にもわからない。
私にとって不利な結末になることだってあるかもしれない。
それでも一臣さんに後悔だけはしてほしくないから。
二枚目を読み終わる頃、一臣さんは、手紙から顔を一瞬だけ上げ、クスッと笑って私を見た。
−な、な、何?!−
私、笑われた?!
どうして笑ったのか聞きたいけど、とりあえず黙っている事にした。
そして、最後に夏稀さんの出発に今なら間に合う事を告げた。