甘い恋には遠すぎて


案の定、一臣さんは飛び出していった……。



私の役目は終わった。


その場には、一臣さんの飲みかけのコーヒーと一枚の千円札、そしてあろうことか手紙がそのまま置き忘れられていた。


私は、そっと手に取り封筒に便箋をしまおうとした。


勿論、手紙を見ようなんて気は、さらさらなかったんだけど、−みや美ちゃん…−という単語を見つけてしまった。


気になる!!私だよね?

深く考える前に視線が便箋の文字を追ってしまっていた。



……今、一臣のことを大切に想っているみや美ちゃんの事、少しは考えてあげて。
好きな人の為だからってこんな事出来る人、そうそういないわよ……一臣だって気付いているんでしょ?……。




そ、そうかな、やっぱり一臣さんにもバレてるのかな私の気持ち……。



バレ…てるよね、やっぱり。




< 232 / 251 >

この作品をシェア

pagetop