甘い恋には遠すぎて
『うわっ、ちっちぇ〜なぁ、かわいいなぁ。』
莉奈の抱える赤ん坊をマジマジと覗き込む一臣。
『お前、手洗えよ!汚いだろ。』
俺は流しを指差し言った。
素直に、念入りに手を洗う一臣。
俺と莉奈は、はじまりはいい加減だったけど、二人で過ごすうちにお互いを大切に想い、信頼し、こうして生涯一緒にいようと決めた。
莉奈に言わせれば、俺みたいなヘタレは、私しか面倒が見れないんだそうだ。
まぁ……いいんだけど。
綺麗に手を洗い終えた一臣は、莉奈から赤ん坊を恐る恐る渡されている。
『く、首が!!』
『下から支えるのよ。』
莉奈がそっと一臣の手を赤ん坊の首に添えた。
どうにか格好がついたようだ。
−トントン……−
不意にノックの音。
『はい〜どうぞ。』