甘い恋には遠すぎて
一臣が旅に出てからは、みや美ちゃんには浮いた話しはなかった。
一途に一臣を想っていたのか、それとも他に何かあったのか、それは本人にしかわからないけど。
俺は自分が幸せだからかもしれないけど、素直にこの二人が上手くいってほしいと心から思っていた。
俺達が聞き耳をたてているのがわかったのか
『俺、そろそろ行くわ、これお見舞いとお祝い。赤ちゃんのなんて全然わかんね〜から、期待すんなよ。』
一臣からデッカイ紙袋を受けとった。
『サンキューな。』
莉奈も御礼を言い、一臣が病室を後にしようとした時、
『私も来て早々だけど行くね。』
みや美ちゃんも後を追うことにしたようだ。
莉奈が微笑み、みや美ちゃんは赤ん坊にバイバイをすると、二人揃って出て行った。
『ちょっと貴ちゃん、私、リンゴジュース飲みたい。表の自販機に売ってるから、買ってきといてよ。』