甘い恋には遠すぎて
『えっ?なんて?今なんて言った?!』
くってかかるみや美ちゃん。あちゃ〜アンタに聞こえてないんじゃ、意味ないじゃんか!!
『あはは、すぐムキになるとこは変わってねぇな。』
しばしの沈黙が続いた。
なんだ?!どうした?
一臣の告白待ちか?
『しょうがないから、お友達からって事で、付き合ってあげてもいいけど?!』
『なんだよ、聞こえてんじゃねぇかよ!ていうか、今時、中学生だってお友達からなんて言わね〜ぞ、アハハ。』
『う、う、うるさいんだから!!』
『アハハ、やっぱり変わってね〜や。』
『もうっっ!!』
二人の笑い声が響いた。
まだまだ甘い恋には遠いかもしれないが、二人のペースでゆっくり進んでいくんじゃないのかな。
『それよりさ、どうでもいいけど貴也!!いつまで盗み聞きしてるんだ〜?』
やべっ!バレた!!
『あっ、いや、その〜〜おめでと〜お幸せに!!』
柱の陰から顔だけ出して、慌てて病院内に戻る。
後ろからは、
『おめでと〜はお前だよ、バーカッ!アハハハ』
二人の笑い声。
よし、莉奈に二人が上手くいきそうだと報告だ!!
いそいそと病室に戻る。
てか、俺なんか忘れてない?忘れ……
『貴ちゃん!なんで買い物行って手ぶらなのよっっ!!』
莉奈の声が病室に響く。
あちゃ〜忘れてた……。
−おしまい−