時の皇子と記憶の舞姫
「リターンを使えということか?」

「そういうことだ。」

「皇子よ。
私はこんなことを言える立場ではないのを承知で言うが…
お前のその態度はとても皇子と言えるものではない。
そんな様子では…大切な人に想いなど伝えられないぞ。」

「なっ…!!」

「雷くん?顔が真っ赤…。」

「みっ…見るなっ!!」

「…仕方ない。国に帰すぞ、瑠香。」

「…全く。美羽という娘の方が力が強いのではないか?」

「はぁ?俺だってタイムの使い手でっ…!!」

「ならば自力で帰れば良いだろう?」

「あいつら二人を連れて帰ったからもう魔力残ってねぇよ。」

「…計画性のない子どもだな。」

「あっ…ありがとうございました!!色々と迷惑をかけてしまって…。」

「大丈夫だよー。美羽ちゃんには迷惑かけられてないから。」

「ホントホント。美羽、またいつでも遊びにおいで。」

「気を付けて。向こうでも…頑張ってね。」

「はいっ!!ありがとうございます。」

「ったくてめーはもう少し大人になれよな。
せめて好きな女の一人くらいは守れるように。」

「雷くんの…好きな子…?」

「ばっ…俺に好きな女なんていねぇ!!」

「あーもう…素直じゃないんだから。でもま、頑張ってね雷。
素直になれるように…ね?」



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