時の皇子と記憶の舞姫
* * *


「香澄さん…大丈夫かなぁ…。」

「はぁ?」

「だって…人事には思えなかったんだもん。」

「あー…大切なやつを失くしたって話か…。」

「翼さんのこと…忘れた方がラクになれるのかもしれないけど…香澄さんの本心はそれを願ってないような気がして…。」

「…死んじまって、でも想いだけは残って…どーしようもなかったんだろ。自分一人じゃ…。」

「…そう…だよね…。」

「でもあいつはお前の言葉に救われてたと思うけどな。」

「え…?」

「最後にちゃんと笑ってただろ?
あれがあいつの答えだ。」

「…だといいな。」

「ったくなんでお前がへこんでんだよ…。」

「好きな人が死んじゃうって気持ち…味わったことないけど…
今ならそれがすっごく怖いってことが分かるもん。」

「あぁ?」

「蒼刃が死んじゃったら…あたしだって香澄さんみたいに時間を戻してでも会いたいって思うかもしれないなって…。
周りの迷惑とか…そんなの全然無視して…ただ…会いたくてどうしようもなくなって…。」

「まぁ…そうかもしんねぇな。俺も。」

「え?」


< 47 / 50 >

この作品をシェア

pagetop