時の皇子と記憶の舞姫
「ちょっ…なんで!?」

「うるせぇ。いいから黙ってろ。」

「だっ…だってあたし…。」



今、あたしは蒼刃に抱っこされている。
…って待って。どうしてこうなったんだっけ…?



「いくら最近あったけぇからって、庭で寝てたら風邪ひくっつの。」

「え…あたし…中庭で…?」

「ああ。ぐーすか寝てたんだよ。だから俺が拾ってやったってわけ。」

「なっ…!!ぐーすかなんて寝てないもん!!」

「そうかよ。まぁとりあえず暴れんな。大人しくしてろ。」

「…。」



蒼刃はあたしを抱きかかえる腕の力をぐっと強めた。
蒼刃の強い鼓動が直に聞こえてきて、顔が熱い。

でもなんだか納得がいく。
温かくて心地が良かったのは…






「蒼刃だったから…だね。」


< 7 / 50 >

この作品をシェア

pagetop