レンアイ 遊興
そう言う空先輩の顔が見られなくて。
絶対昨日の走って階段降りた時だ。
よりによって空先輩が拾うなんて…
ポツポツと雨が降ってくる。
青い色をした空はみるみるうちに黒い雲に覆われていって。
「じゃあ。それだけ」
そう言って立ち去ろうとする空先輩に、私は叫んだ。
「先輩は…空先輩は好きな人いますか!」
あっという間に土砂降りにかわった雨に負けないくらいの大きな声。
そんな私の必死な声に、空先輩は振り返って
「あぁ、いるよ」
と、切なげに笑って屋上を出た。
体に当たる痛い雨を受けながら、私は思ったんだ。
あぁ、知美先輩の話は本当だったんだな、って。