レンアイ 遊興
すると空先輩はふっと微笑んで、私をお姫様だっこしたまま歩き出した。
いきなり歩き出すから、バランスを崩して、つい空先輩の首に抱き着く。
そんな私を見て、ふっと微笑んだその表情は、前に屋上で見た、柔らかくて優しい笑顔だった。
「はい」
そう言われて棚の上に座らせられた。
ここはどこかの空き教室で。
棚の上に座っている私の目線と同じくらいの高さに、私の前に立っている空先輩の目線がある。
「劇の途中にごめんね?」
「いえっ、全然…」
空先輩が悲しそうに言うから、慌てて手を振って否定する。
久しぶりに空先輩と話せてなんだか心が温かくなった。