レンアイ 遊興




腕を突かれて朱音を見る。

少し不機嫌そうな朱音。


そっか、カラオケ早く行きたいよね。


「じゃあ、さようなら」


そう言って知美先輩の横を通り過ぎると


「ごめんね!」


少し大きめの声で言われて、えっ?と振り返る。


「空とのこと。私、悔しくて…ついあんなことしちゃって。つくしちゃん辛かったはずなのに。本当ごめんね」


知美先輩の瞳が少しうるうるしてて。


そんな知美先輩を見て、私まで切なくなった。


好きな人が違う人を見てたら、つい意地悪したくなっちゃうもんね。


でも知美先輩は謝ってくれてるし。嘘ついてるようにも見えないし。


「全然大丈夫です」


にっこり微笑む。


こんなに謝ってくれてるのに許さない方がいけないよ。




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