レンアイ 遊興
「じゃあ、さようなら」
プチッと多分一方的に電話を切った朱音。
「あ…の、」
「なに?」
携帯を受け取りながら、小さく言う。
「浮気って…嘘だよね?」
嘘だよ、って言葉が返ってくることを信じた期待は
「本気だから」
朱音の一言で呆気なく崩れていった。
「…………」
また静まってしまったカラオケボックス。
耐え切れなくなった雪音先輩がバッと立ち上がった。
「せっかくカラオケに来たんだしみんなで歌お…」
「歌わない」
きっぱり言った朱音の言葉に、笑顔だった雪音先輩の表情が固まる。
「今日は歌うために来たんじゃないの」