レンアイ 遊興




私に向けていた笑顔なんて嘘のような顔で、拓ちゃんは男の人を睨んだ。


「わ、わかってるよ。ただちょっと遊びたかったっていうか…」


男の人は必死にもごもごと言っているが、拓ちゃんは別に気にする事もなく、私の方を見た。


「何もされてない?」


「うん」


「よかった」


そう言って拓ちゃんは笑顔になった。


拓ちゃんの笑顔は、心がホッとするんだ。

小さい頃からこの笑顔が大好きだった。


「なんだよ、過保護すぎんだよ」


男の人はそう言って立ち去ろうとする。


あっ、

「トイレ…いいんですか?」


「あーもう用事なくなった」


そう言って背を向けて歩きながら、手をひらひらさせる男の人。





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